猫のお話し  

オリジナルストーリー 

~星ひろい~ 三匹の子猫と黒猫の貴婦人 

ー1―

黒猫の貴婦人はとても美しい猫です。
エレガントな帽子にはいつも違ったコサージュをつけていました。
長い首には宝石がきらきら光っています。
今日の宝石はトルコブルー。黒い身体によく映えます。
黒猫の貴婦人は長いまつげをパチパチさせながら、三匹の子猫たちに言いました。
「今日は特別な日。星をとってきておくれ。
星はとっても甘くておいしいの。」



-2-

三匹の猫たちは星あつめに行きます。
今日はとっても質のいい星がふる日だそうです。
夜になり、野原はすっかり
星でうめつくされていました。
きらめく星が落ちてきて
... 星の海になります。
落ちる前に、星を拾わなければなりません。
落ちた星はとけてしまいます。
さぁ、とけてしまう前に、たくさんひろって
袋に詰めます。
星の海はキラキラ虹のように輝いています。
夜空も満天の星空です。
あ、星が落ちてきた!

 ‐3‐
とけた星は野原を不思議な色に染め上げます。
落ちてきた星が、野原に落ちると
ドロドロの液体状になって、海になります。
夜が更けすぎると、“星の海”は深くなり
足をとられやすくなるので
動きやすいときにとらなければなりません。
この“星の海”も朝がくると太陽の光で
全部なくなってしまいます。
夜のうちだけなのです。
星予報では今日はとっても良い日だそうです。
はりきって三匹は
えい!や!とキャッチして袋に詰めます。
 
‐4‐
 
すっかり袋は星でいっぱいになりました。

『いっぱい拾ったよ!」
と三匹は黒猫の貴婦人のところへ行きました。

黒猫の貴婦人はとても喜びました。
「まぁまぁ!こんなにたくさん!ごくろうさま。
さぁさ、星のティータイムにしましょう!
たっぷりめしあがれ。
ミルクティーもいかが?」
と、おもてなし。
不思議な色の星がお皿の上で瞬きます。

さて、どんな味がするのでしょう。

 ‐5‐
 
 
 
 
あなたは星の味は
どんな味がすると思いますか?
 
 
 
星は
あなたが
想像した、思い描いた
味になるのです。
さぁ、すてきな味を思い描いて!
 
 
 
絵・作 西 美紀
 
 
 
 
 
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